6月8日(水)9日(木)、東京ベルサール飯田橋ファーストにて開催された日本臨床矯正歯科医会例会に参加しました。
日本矯正歯科学会大会は各大学歯学部の矯正歯科講座の運営となっているため、研究実績のプレゼンテーションがメインであるのに対して、日本臨床矯正歯科医会のメンバーは開業している矯正歯科専門医ばかりなので、より臨床に即した内容の大会となっています。
今回のメインプログラムはドクター&スタッフ合同プログラム。大変有名な東京医科歯科大学臨床教授の内山茂先生とみらいクリニックの今井一彰先生の講演です。
内山茂先生の講演は「日常留意すべき炎症と力のコントロール」
前半の炎症のコントロールでは、歯肉縁上のプラークコントロールの重要性、そのためのプロッフェショナルケアの方法、歯肉縁下へのアプローチという内容。矯正歯科においても取り入れることができる予防、歯周治療についての示唆に富むお話でした。後半の力のコントロールでは、オーバーロード症候群、トゥースウエア、セメント質剥離などについての丁寧なご解説でした。それぞれに的確なエビデンスを示され、また講演のスライドはとても素晴らしく高いセンスを感じました。
内山先生は、東京の町田市でご開業の船木先生とご同級とのこと。講演冒頭では大学でのエピソードや船木先生の話題で盛り上がりました。
今井一彰先生の講演は「口呼吸が体に与える弊害について」
ご存じ、「あいうべ体操」の今井先生です。
先生の発想は、薬を使わないで病気を治すこと。麻酔医から漢方医となり、多くのアレルギー患者さんを診ることで、口呼吸から生じる口腔疾患が様々な病気を引き起こしていることに気づかれたそうです。そして誰にでも簡単に鼻呼吸を習慣づけようと「あいうべ体操」を発案されました。さらに口呼吸の弊害について、引き起こる疾患やメカニクスについての分かりやすい説明がありました。先生のオフィスでは、自己免疫疾患の患者さんで9割の方が鼻呼吸の獲得だけで治癒に向かうとのことです。
口呼吸は舌や口腔周囲筋など口腔機能と深く関わっています。先生のお話は、歯科医、特に矯正歯科医へのエールでもありました。当院ではこれまでも、口腔機能の改善という大きなテーマに取り組みながら矯正治療を行ってきましたので、とても大きな励みになりました。